「折る、切る、貼る、縫う」ことを自由にできる子供は、手を使う活動によってさらに高い知識水準に達し、自分の手を使う子供はさらに強い性格を有します。幼児期に英語や楽器を自由に操るよりも、手を自由に使えることの方が、成長する段階では重要です。
子供が就学する前には「読み、書き、計算」よりも 「折る、切る、貼る、縫う」ことを自由にできるようにしておくことの方が大切だとモンテッソーリは言っています。
現代はワンタッチで何でもできる時代ですから「折る、切る、貼る、縫う」なんてできなくてもよいではないか。
それよりも幼児期に外国語や楽器を自由に操れるようにしてやる方が、 「将来のためになる」と考える大人は多いでしょう。
しかし、ここで注目したいことは「手を使う」ことの重要性です。
モンテッソーリは「子供の知識は、手を使わなくてもある水準まで達します。
しかし、手を使う活動によってさらに高い知識水準に達し、 自分の手を使う子供はさらに強い性格を有します。
手を使って環境に働きかける機会を持たなければ、子供は幼稚な段階に留まってしまいます。
環境の特殊事情によって子供が手を使えない場合には、性格が極めて低い水準に留まり、 従順ではいられず、積極的でなくなり、不精で陰気な性格になってしまいます。
ところが、自分の手で作業できた子供は、明瞭な発達と性格のたくましさをしめす。」と言っています。
幼児期に手を使うことが大事なのは、器用になって生きていく上で役立つからという理由ではありません。
随意筋を自分の意志通りに使えるようになっていくこの時期に「折る、切る、貼る、縫う」のような 手先の活動を身につける過程で、脳のさまざまの部位がフルに働くので、 モンテッソーリが言っているような強い性格な子供が育つのです。